2018年05月20日

映画レビュー 「サバービコン 仮面を被った街」 ジョージ・クルーニー監督

サバービコン 仮面を被った街
時は1950年代後半。オレ達が子供の頃に観た「奥様は魔女」に出てきたような新興住宅地サバービコン。ある程度裕福な白人だけが暮らしている(決してそう喧伝していたわけではない)この町にある日,アフリカ系のマイヤーズ一家が越して来る。住民委員会は紛糾するも法的にはなんら問題はない。ならば,と住民有志はマイヤーズ家の玄関口で実力行使の嫌がらせを始める。

そのマイヤーズ家と裏庭を接するロッジ家。交通事故で車椅子生活を送る妻のローズ(ジュリアン・ムーア)は嫌がる息子ニッキー(ノア・ジュープ)に同世代に見えるマイヤーズ家の子供アンディ(トニー・エスピノーザ)をキャッチボールに誘うよう促す。これがきっかけで子供二人はすっかり打ち解けるが,オトナの世界では嫌がらせが徐々にエスカレート。

そんなある夜,不穏な雰囲気にニッキーが目覚めるとそこに立っていたのは父ともう一人見知らぬ男(アレックス・ハッセル)。父のガードナー(マット・デイモン)は彼に「強盗が入った」と説明し共に階下へ。そこでは母とその姉マギー(ジュリアン・ムーアの二役)が縛られ,もう一人の強盗(グレン・フレシュラー)がクロロホルムを…。

病院でニッキーが目覚めると,クロロホルムを過度に吸い込んだローズは死亡。葬式が済むと,死んだ妹と同じ色に染めたマギーが「ニッキーの世話をする」と称して同居するようになり,彼女はやがて自分とガードナーとの関係を隠さなくなる。

数日後,容疑者を捕らえたと連絡があり警察を訪れたガードナーとマギー。廊下で待機させられたニッキーは,好奇心から二人が面通しをしている部屋に入り込み,ガラスの向こう側にいる,あの夜の強盗達を二人が「犯人ぢゃない」と証言するのを聞いて驚く…。

1950年代にペンシルベニア州レヴィットタウンという街で実際に起きたアフリカ系一家排斥事件を背景,コーエン兄弟得意の「小市民がつい手を染めた犯罪がどんどん悪い方に転がっていく」という脚本を展開した怪作。この2つの要素が水と油のように混じり合わない失敗作という見方もあるだろうが(つか,大半がそういう見方みたいなんだが),ラストシーンだけでそれは解決してるかなと思うんだよねオレ。


「サバービコン 仮面を被った街」公式サイト

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2018年05月18日

映画レビュー 「レディ・プレイヤー1」 スティーブン・スピルバーグ監督

レディプレイヤー1
ひゃあ,これか。これを製作中にスピルバーグは「でもこっちも今映画にしなくちゃダメなシナリオ」って言ってあの「ペンタゴン・ペーパーズ」にも着手したのか。そう思って並べるとなんとなく両作品はバランスしてる気がするよね(気のせいです)。

舞台は今よりみんな幸せになってない近未来,荒廃した世界で生きる人々は日々の屈託を「オアシス」とおいVRワールドで解消している。ゴーグルひとつで「オアシス」に身を投じれば,どんな願望も思いのまま…いやもちろんそれなりの制約はあるが,生身の生活に比べれば遥かに自由でかつ刺激的だ。

しかも今,その世界では,この「オアシス」そのものを賭けてのイースターエッグ探しが開催されている。先ごろ亡くなったオアシスの創設者にしてオーナー,ジェームズ・ハリデー(マーク・ライランス)が,そのゲームの勝者に「オアシス」の所有権と彼の莫大な遺産を授与するという遺言を残したのだ。

ある日,挑戦者の一人パーシヴァルことオハイオ州のスラムに住むウェイド・ワッツ(タイ・シェリダン)はハリデーに関するすべてを集めたVR内の博物館で第一関門である自動車レースを勝ち抜くヒントを掴む。半信半疑でそれを実行し見事「最初のエッグ」を手に入れた彼は一躍VR界の英雄になる。

が,それは同時に「オアシス」を狙う世界企業IOIの社長ソレント(ベン・メンデルソーン)を敵に回すことでもありまた,IOIが現実社会で濫用している強権に対し抵抗を試みているレジスタンスの女性アルテミスことサマンサ(オリヴィア・クック)の仲間になることでもあった…。

ビジュアルは刺激的だがストーリーはテッパンの勧善懲悪。それが正しい分類なのかどうか知らないが(というよりそういう分類に「正しさ」とか「厳密さ」とかが必要だとあまり思わない質なのだが),監督スピルバーグのキャリアほぼ重なる期間のポップ・キャラクターを使って織りあげた「指輪物語」みたいな映画。

デロリアンがティラノザウルスに追いかけられアキラ・バイクがキング・コングに捻り潰される。「シャイニング」のホテルもメガゴジラやガンダムも確かに楽しい。でもオレ,出てくるキャラクターやオマージュが全部把握できなくても,何度も観る気にはならないなぁこれ。


「レディ・プレイヤー1」オフィシャル・サイト

posted by hiro fujimoto at 08:30| Comment(0) | 映画

2018年05月12日

映画レビュー 「レザーフェイスー悪魔のいけにえ」 ジュリアン・モーリー&アレクサンドル・バスティロ監督

LeatherFace
どうも「悪魔のいけにえ」と言う題名は覚えていても,主人公(?)である怪人レザーフェイスと,他のホラー・シリーズ「13日の金曜日」のジェイソンとか,「ハロウィン」のブギーマンとか,と区別がつかないヒトが結構多いらしい(同じ殺人鬼でも「チャイルド・プレイ」のチャッキーだけはちゃんとみんな区別できる。当たり前か)。

1974年公開の第1作「悪魔のいけにえ」(日本では1975年だった。原題は「The Texas Chain Saw Massacre(テキサス・チェーン・ソー大虐殺)」)は,テキサス州に里帰りした5人の男女が道で拾ったヒッチハイカーに導かれて彼の弟である殺人鬼レザーフェイスの元におびき寄せられて殺される,と,まぁ言っちゃえばそんだけの話である。

それがなんでまた製作費の400倍もの興行収入を稼ぎ出し,40数年経過してなお続編が作られるようなヒット作になったかと言えば,やはり主人公レザーフェイスの異様な恐ろしさだろ。あまりにも残虐な描写ゆえに全米で上映禁止になったことが逆宣伝になっちまったとよく言われるがそれだってモトをただせば「レザーフェイスのやること」の描写なんだから。

本作は「悪魔のいけにえ」シリーズの最新作(8作目)であり,まぁ最近流行の「前日譚」である。つまり主人公は「まだレザーフェイスになる前の彼」。これは,一族で殺人を趣味(?)としている異常な家に生まれた少年が,如何にして一族の歴史でも出色の殺人鬼になったのか,と言う映画である。

1954年。5歳の誕生日にプレゼントとしてチェーンソーを渡され,それで目の前の縛られた男を殺すよう命じられた少年。彼はその命令を拒むのだが,まもなく発生したある事件のため,親元から離され青少年専用の更生施設に送致される。この措置を不服とした一家は息子を取り返すべくあらゆる手を尽くすが成功しないまま10年の時が流れる。

1964年,ある計画を胸に施設を訪れた母親。彼女の常軌を逸した行動が引き金となり,もともと精神に問題を抱えた収容者たちの暴動が発生。混乱の中,新米看護婦一人リジー(ヴァネッサ・グラッセ)を人質とした4人の若者が施設を脱走する。アイク(ジェームズ・ブルーア),ジャクソン(サム・ストライク),バド(サム・コールマン),クラリス(ジェシカ・マドセン),彼らはどこへ向かうのか…。そして彼らのうちの誰がレザーフェイスに…?

しっかり怖いよ,ホラー好きは見逃さぬよう!

「レザーフェイスー悪魔のいけにえ」公式サイト
posted by hiro fujimoto at 13:32| Comment(0) | 映画