2018年05月27日

映画レビュー 「29歳問題」 キーレン・パン監督

29歳問題
やあ。いい映画だったなぁ。もともとは監督のキーレン・パンが書いて演じていた独り芝居なんだそうだが,それも観てみたい。中国語わかんないけど。

舞台は2005年の香港,30歳を目前にしたクリスティ(クリッシー・チャウ)は化粧品会社に勤めるキャリア・ウーマン。結婚という話題になるとちょっと微妙な空気が流れるものの恋人もいるし,憧れの女社長に認められて昇進したばかり。

ところがこの昇進が思わぬストレスの種に。肩に重たくのしかかる重責,部下を束ねなければならないストレス,連夜の残業,いつしか心は余裕を失い,ようやく会えた恋人とも口論。しょげかえって部屋に戻ると大家がいて,突然だが家を建て替えることになったので退去してくれと。

仮住まいとして大家に紹介されたのは,彼の甥の友人であるティンロ(ジョイス・チェン)という女性の部屋。パリに旅行中の1ヶ月間,部屋を使わせてくれる,という彼女はクリスティ宛てにヴィデオ・レターを残していた。

そのヴィデオの中のけして美人ではないが元気で天真爛漫なティンロの様子に,徐々にささくれた気持が癒されていくクリスティ。続いて見つけたティンロの自伝風の日記を読むと,なんと彼女はクリスティとまったくおなじ日に生まれていて…。

このティンロって女の子が可愛いのだ。

いや,上に書いた通り全然美人ぢゃないし太ってるしオタクだしアレなんだが,話が進むにつれてもう愛おしくて愛おしくてたまらなくなる。是が非でもこの娘に幸せになってもらいたい,と思ってしまうのはオレの年齢からすると娘みたいな気がするからかなぁ。

とにかくもうすぐ29歳になるヒト,それからかつて29歳であり,そのことをまだ忘れていないヒトには間違いなく響く映画だよこれは。


「29歳問題」公式サイト

posted by hiro fujimoto at 22:00| Comment(0) | 映画

2018年05月26日

映画レビュー 「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」 クレイグ・ギレスピー監督

アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル
これは観ないと損。あの事件が実はこんな風に起きたんだったなんて!…と,そんなことを突然言われても「あの事件って?」と,なんの話やらさっぱりのヒトも多かろうと思うので簡単に背景を説明しておく。

1992年のアルベールビルから2年後の1994年1月,それまで同じ年に行われていた夏冬のオリンピックを2年ずらすために急遽行われることになったリレハンメル・オリンピックの米国代表と目されていたフィギアステート女子のナンシー・ケリガン(彼女はアルベールビルの銅メダリストだった)は,練習直後,何者かの襲撃を受けて膝にケガを負う。

この影響で彼女はリレハンメルの代表選考を兼ねて行われた全米選手権を欠場。永年のライバルであり,アルベールビル4位,日本の伊藤みどりに次ぎトリプルアクセルを成功させた史上2人目の女子選手,トーニャ・ハーディングが優勝した。ところが襲撃事件から2週間後,ハーディングの前夫ら数名が逮捕されてスキャンダルに。

邦題の通り「史上最大のスキャンダル」かどうかはヒトによって意見の分かれるところだと思うが(オレは「いくらなんでも『史上最大』は盛り過ぎだよな」という意見である),とにかくこの映画はそのスキャンダルの主役,トーニャ・ハーディング(マーゴット・ロビー)や前夫ジェフ(セバスチャン・スタン)らが,あの事件を回想する「疑似ドキュメンタリー」である。

で,だ。冒頭にああは書いたが,おそらく事件の経緯はこの通りではない。

だってこれぢゃ面白過ぎるでしょ。トーニャやジェフ,ジェフの親友で事件にも大きく関わったショウン(ポール・ウォルター・ハウザー)やトーニャの母親ラヴォナ(アリソン・ジャニー)の行動がまるでコーエン兄弟の書いたシナリオみたいである。そりゃ多少はこういう要素もあったろうけど,カゴイケ夫妻や日大のカントクを見れば解る通り,ニンゲンここまで面白くはなれまい。

でも映画としてはその「面白過ぎる」部分が大成功。マーゴット・ロビーとアリソン・ジャニーによるハーディング母娘の緊迫感ある演技も凄いし,最新技術を駆使したトリプルアクセルのシーンも素晴らしい(ワタシはこれで初めて「なるほど3回転してるんだ」と納得しました)。

そして何をさておいてもポール・ウォルター・ハウザー!「人生では常に四歩先を考えることだ」。

笑うぞ。


「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」オフィシャルサイト

posted by hiro fujimoto at 07:26| Comment(0) | 映画

2018年05月21日

映画レビュー 「イカリエ-XB1 デジタル・リマスター版」 インドゥジヒ・ポラーク監督

イカリエ-XB1
1963年。共産主義体制下のチェコ(当時はチェコスロバキア)で作られた本格SF映画。これは2016年に修復されたそのデジタル・リマスター版である。

舞台は22世紀後半,宇宙船イカリエ-XB1は太陽系にもっとも近い恒星系であるアルファ・ケンタウリを目指して生命探査の旅に出発する。帰還は15年後の予定だが,宇宙空間を高速で移動する40名の乗組員はその間2歳ほどしか年を取らない。

ある日乗組員の一人シュティフィーが妊娠していることが発覚。彼女は夫ミレクと共に乗船したいたが,妊娠を理由に妻レナを地球に残してきた副艦長マクドナルド(ラドヴァン・ルカフスキー)は動揺する。艦長アバイェフ(ズデニェク・シュチェパーネク)は彼を慰め,宇宙での出産という人類初の経験をするシュティフィーをみんなで支えようと諭す。

数ヶ月後,数学者アントニー(フランチシェク・スモリーク)の誕生パーティの最中に緊急事態のアラートが響く。船のレーダーが,すぐ近くに浮かんでいる正体不明の宇宙船を発見したのだった。アバイェフは二人の乗組員を探査シャトルで送り込むのだが…。

既視感があるエピソードが積み重ねられる展開はなんというか「『スター・トレック』の数話分を続けて見せられているような感じ」なんだが,前述のようにこちらの方が「スター・トレック」にかなり先行して作られたもの。なので我々が劇中の事件に感じる既視感は逆で,実はこっちがオリジナルなのである。うーんスゴい。

すべてのSF映画ファン(特にハード系が好きなヒトね)必見。新宿シネマカリテで5月19日土曜からやってます。

「イカリエ-XB1」公式サイト

posted by hiro fujimoto at 08:27| Comment(0) | 映画