2018年04月01日

映画レビュー 「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」 スティーブン・スピルバーグ監督

ペンタゴン・ペーパーズ
邦題になっているペンタゴン・ペーパーズと言うのは正式名称「ベトナムにおける政策決定の歴史、1945年-1968年」,ルーズベルト時代からのアメリカの対ベトナム政策に関する文書。

詳細を知りたい人は自分で読んでもらいたいが(2011年に機密指定が解除されているので全文WEBで読める。読まれて困るものはちゃっかり「紛失」しちゃうどっかの国よりこう言うとこ誠実だなアメリカは),早い話,これが公表されると政府機関の分析の結果「ベトナム戦争は勝てない戦争である」と言うことはとっくの昔に分かっていたのに歴代政権はズルズルと若者たちを戦場に送り続けた,と言うことがバレちゃう文書なのね。

1971年,この報告書の執筆者の一人ダン・エルズバーグ(マシュー・リス)は所属するランド研究所からこの文書を持ち出してコピー。経路は不明だが,この一部がニューヨーク・タイムズに渡り,同紙はこれを元にした報道を開始する。

「タイムズにやられた!」

ニューヨーク・タイムズをライバル視するワシントン・ポストの編集主幹ベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)はこの記事に激怒。奴らが持っている文書をウチも手に入れろ,と記者たちの尻を叩く。その中にはかつてランド研究所でエルズバーグと同僚だったベン・バグディキアン(ボブ・オデンカーク)もいた。バグディキアンはタイムズの記事の内容からこの漏洩にエルズバーグが関わっていることを確信,旧友の行方を追い始める。

記事は時のニクソン政権にとっても激震だった。大統領の指示を受けた司法省はタイムズの記事の差し止めを求めて連邦地方裁判所に訴えを起こす。同じ頃ボストンでエルズバーグに再会したバグディキアンは,彼が持ち出した文書のほとんどを入手してワシントンに持ち帰るが,それを元にした記事を掲載すればポストもまたホワイトハウスを敵に回すことは必定だった。

当時,ワシントン・ポストの経営は思わしくなく,死んだ夫に代わって社主を勤めていたキャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)は株式の公開を準備中。記事を出して差し止めを食らえば出資者の不安要因になることが予想された。それにこの文書作成の責任者である国防長官ロバート・マクナマラ(ブルース・グリーンウッド)夫妻はキャサリンの辛い時期を支えてくれた大事な友人でもあった…。

今更なんだがスピルバーグは達者だなぁと思う。出演作を何本観たか数えられないくらいのメリル・ストリープとトム・ハンクスなのに,これまでに彼らが演じた誰にも似ていない。いかにも71年当時のワシントン・ポスト社主,キャサリン・グラハムと同紙編集主幹のベン・ブラッドリーに見えてきちゃうんだよなぁ(いや二人の顔を知ってるわけぢゃないんだけどさ)。

ラスト,翌年のウォーターゲート事件発覚の発端となる映像が流れ,この映画があの「大統領の陰謀」(アラン・J・パクラ監督)の「前日譚」であることが示唆されるんだが,その直前にホワイトハウスの窓に映るニクソンと思しき人影が電話で「ワシントン・ポストの記者をホワイトハウスから締め出せ,妻に注意しろ,妻は入れてしまうから」みたいなことを言う。早口で英語聞き取れなかったんだがホントにそう言ってたのか,それとも字幕の「超訳」ですかね?


「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」公式サイト

posted by hiro fujimoto at 10:36| Comment(0) | 映画

2018年03月31日のつぶやき






posted by hiro fujimoto at 00:01| Comment(0) | 日記