2016年11月03日

映画レビュー 「小さな命が呼ぶとき」 トム・ヴォーン監督

小さな命が呼ぶとき
脚本を読んだハリソン・フォードがハリソフォドした…ぢゃ筒井センセイの「発明後のパタン」だ,自ら製作総指揮を買って出たというので話題になった作品。

オレゴン州ポートランド,製薬会社に勤めるビジネスマンのジョン・クラウリー(ブレンダン・フレイザー)は焦っていた。ポンペという難病に冒された8歳になる長女メーガン(メレディス・ドローガー)とその弟で次男のパトリック(ディエゴ・ベラスケス)が,共に余命が1年に満たないと診断されたのだ。

4万人に1人の割合で発症するといわれるこの病気は先天的代謝異常の一つで,体内に蓄えられたグリコーゲンをうまく分解できないため筋肉がエネルギーを得られず歩くこともできず,やがて内臓が肥大して死に至るという。

悩んだジョンは,この病気の治療法について研究しているネブラスカ大学のロバート・ストーンヒル博士(ハリソン・フォード)を訪ねる。自分の研究に対し,大学がフットボール・チームのコーチの年収以下の研究費しか出さないことに憤っていた博士は,ビジネスマンとしてのジョンの経歴に着目,2人でポンペ病治療薬を開発するバイオ・ベンチャー企業を立ち上げないかと提案する…。

安定した暮らしを投げ出すことになるが,これ以外に2人の子供を喪わずに済む可能性はない。周囲から狂人扱いされながらジョンは唯一の希望に向かって邁進していく。設立資金を求めてヴェンチャーキャピルと渡り合い,開発のスピードを求めて大手製薬会社への身売りを画策する。そして遂に新薬は治験段階に至るのだが…。

まるでオトギ話みたいだが,この話は実話なんだそうで,実際にこのジョン・クラウリー氏は映画公開時 Amicus Therapeutics というバイオ企業のCEO,病気の2人(彼らが開発したのはポンペ病を完治するクスリではなく,ポンペ病で死なずに済むクスリ)を含む3人のお子さんも健在ということだった。

映画の106分という尺の中ではどう脚本を書いても「トントン拍子」の感をぬぐえないが,単なるお涙頂戴の感動モノではなく,子供の命を救いたいという親の情熱の前に立ちはだかる資本の論理,ビジネスの法則といった障害物の姿をありのままに描いているトコロに価値があろう。

将来に渡ってそれを負担する親の一人でありながら,製薬会社の面々にこのクスリが患者を持つ家族にとってどれだけ無くてはならないものか,よってどんだけの収益が見込めるか,を説くシーンのブレンダン・フレイザーはオレの中でようやく「悪いことしましョ!」の彼とは違う顔を持った。もう二度と「川平慈英にちょっと似てるあの俳優」とか呼びません。皆さんも呼ばないように。

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posted by hiro fujimoto at 08:39| Comment(0) | 映画

2016年11月02日のつぶやき






posted by hiro fujimoto at 00:01| Comment(0) | 日記