2016年08月23日

ブックレビュー 「代替医療のトリック」 サイモン・シン&エツァート・エルンスト

代替医療のトリック
題名を見て「代替医療って何だ?」と思いました? 冒頭にその定義がある。

「主流派の医師の大半が受け入れていない治療法」

つまりは現代医学の基礎になっている科学的知見に合致しない理論やメカニズムを用いて行われる治療法ってこと。こういうと「ああ,先年話題になったホメオパシーみたいなやつね」と合点しちゃうヒトもいると思うが,著者たちによればこれにはホメオパシーだけでなく,鍼(鍼灸,指圧を含む),カイロプラクティック,ハーブ療法なども含まれるのだ。え,鍼もなの? 鍼もなのである。

何を隠そうワタシも鍼&カイロプラクティックの経験がある。20代後半,当時勤務先があった北新宿の交差点でわき見運転のクルマにはねられて腰を痛めた。何日かの通院後,医者は治ってるというのだが痛みが消えず,通勤途中で見かけたそういうクリニックの戸を叩いた。

2月くらい通ったかなぁ,そこで受けた説明を思い出すと,何個かめの胸ついの位置がちょっとずれてるんだが,すぐには動かせないのでまず鍼で回りを温めます。温まったところでカイロプラクティックのテクニックで骨を動かせば痛みは消えるはず,と。で,安くはなかったが通って(バブル真っ盛りのコロ,オレも今のようにビンボウではなかった),2月後になんか背中を押したり曲げたりして「ポコ」っと音がして,さぁこれで治りました,と。

え,治ったのかって?

そこが微妙なんだよね。実際のところ通い始めて1月半くらいで状況はかなり改善していたのである。でも治療行程的にはまだ「鍼で温めてる」段階なわけで,もういいですとも言いにくい。

最後,確かに「ポコ」って音は聴いたけど,オレはこれが関節液に生じた気泡が弾けて鳴るものだってコトを知ってたのでああそうですかという感じ。あれにはホントにちょっとした爽快感があるし,背骨(正確にどっからの音だかはわからんのだが)からあれを出すのは難しいんだけど,少なくとも「胸ついが動いた」音ぢゃねぇんだよね。

つまり結論として,ワタシは「鍼とカイロプラクティック」に通ったコトはあるけれど,それのおかげで良くなったのかどうかについて確信は持てない,のである。だってそもそも「それをやらなかった」場合って対照実験をしてないわけだから(いや,できないんだけどさ)。

で,実のところこの本の価値はそこにある。代替医療に対する我々シロウト(患者と言ってもいい)の見解というのはつまるところ,試したら効いた,効かなかった,効いたような気がする,騙された,という個人的な体験(しかもそれは客観的に検証されたものではなくあくまで印象だったりする)に基づくものに過ぎないのだ。

同じ病気を2度患って,今回はこっちの治療法,今回はあっち,みたいなことは普通やらないし,やったとしても実験としては厳密さが足りない。で,早い話この本はそれを代わりにやってくれたのだ。ちゃんと実行された臨床試験だけを集め,それらをメタアナライズした結果を報告してくれている。

その結果…ま,それは読んでください。信じるにしろ信じないにしろ読んで損はしないと思うよ。

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2016年08月22日のつぶやき








posted by hiro fujimoto at 00:01| Comment(0) | 日記