2016年08月21日

映画レビュー 「イレブン・ミニッツ」 イエジー・スコリモフスキ監督

11_Minutes
「イレブン・ミニッツ」というのは題名であって上映時間ではない。上映時間は81分。確かに短いが,中身は相当に濃密である。

どことは明示されないが東欧らしき大都会(ロケの大半はワルシャワで行われたそうな)。揺れるレンズが顔に傷のある男ヘルマン(ヴォイチェフ・メツファルトフスキ)の帰宅を捉える。

出迎えた妻アニャ(パウリナ・ハプコ)の態度はお世辞にも温かいとは言えない。顔の傷はこの妻が原因か? 時計を示してアニャが言う。「午後5時の約束なの」。部屋を出て行くアニャ,ヘルマンはレンズに向かって怒り狂う。「指輪のせいだ!」。

監視カメラのモノクロ映像。初老の男(アンジェイ・ヒラ)がなにかの書類にサインをさせられている。保護観察記録。「今後一切,学校に近づいてはならない」。画面は火事現場に移動。パンクヘアの女(イフィ・ウデ)が警察の事情聴取を受けている。

どこかのアパートの一室,窓際に座っている少年(ウカシュ・シコラ)。パソコンのカメラに向かって母親への伝言を録画する「ボクになにかあったら…」。

ホテルの一室。映画監督の男(リチャード・ドーマー)が部屋の電話ケーブルを全部外し,ビデオカメラを録画状態にする。5時ちょうど,アニャが訪れ,彼は部屋のドアに「Don't Disturb」の札を。

時計台が5時を告げる音のなか,ベッドに伏せていたヘルマンは慌てて腹を着て外へ。妻は電話に出ない。街角にホットドッグの屋台,その主はあの保護観察の男。客は5人の修道女。修道女に続いて屋台に近づいたブロンドの女。「もう出所できたの?」,男の顔にツバを吐く。

上空を飛ぶ旅客機。轟音と振動でガラスにひびが入った部屋のベッドの上の男女。パンクヘアの女が若い男から預けてあった犬を受け取る。二人は元恋人同士らしいが雰囲気は険悪。ここにも5時を告げる鐘の音が。

ホテルに着いたヘルマンは監督の宿泊している11階へ。監督はアニャに映画の題名を告げる。「娼婦のお仕事」。アニャは困惑しつつ「昨日,結婚したばかり」と指輪を見せる。

配達先の人妻と浮気を楽しむバイク便の青年(ダヴィド・オグロドニク)。夫の突然の帰宅に慌てて逃げ出し,スピードを出し過ぎてパトカーに追いかけられる。犬を連れたパンクヘヤの女がホットドッグ屋の最後の客。初老の男はサービスし,「明日,息子が結婚する」。

鳴り響く5時の鐘。救命隊員の女(アンナ・マリア・ブチェク)が仲間とともにアパートの階段を駆け登る。しかしなぜかそこには家財道具が散乱しており,なかなか患者のもとにたどりつけない。それでもジリジリと近づくと,モノを放り投げているのは錯乱した患者自身…。

パソコンに母親宛の伝言を残した少年が無人の建物の中でタバコをふかしている。彼は意を決した風情でそこを離れ,兼ねてから狙っていたらしい質屋の建物に忍び込む。しかし…。

細かいカット割で次から次へと映し出される人生の断片。ああ,これはそういう群像劇なのかと思っていると突然すべてが収斂する「運命の午後5時11分」が。これ以上書くと露骨なネタバレになるのでご勘弁を。

「イレブン・ミニッツ」公式サイト



posted by hiro fujimoto at 10:34| Comment(0) | 映画

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posted by hiro fujimoto at 00:01| Comment(0) | 日記