2016年07月16日

映画レビュー 「カプチーノはお熱いうちに」 フェルザン・オズペテク監督

cappuccino
南イタリア,古代ギリシャ以来の歴史を持つレッチェの街。ここで「カフェ・タランチュラ」のウェイトレスとして働くエレナ(カシア・スムトゥニアク)は雨の日のバス停で黒人女性に差別的な暴言を吐く若者をたしなめてあわやケンカに。数日後,パーティで同僚シルヴィア(カロリーナ・クレシェンティーニ)に彼女の恋人として紹介されたのがあの最低オトコ,アントニオ(フランチェスコ・アルカ)だった。

その夜,酔ったアントニオは,もう一人の同僚でゲイのフォビオ(フィリッポ・シッキターノ)を「神経症のホモ野郎」,エレナの恋人ジョルジョ(フランチェスコ・シャンナ)を「金持ちのボンボン」,エレナのことも「勘違いのマドンナ気取り」と言いたい放題。みんながシルヴィアに忠告するが,却って彼女は頑なに耳を閉ざす。

ある日フィビオが,市が借り手を募集している元ガソリンスタンドを見つけてくる。彼はエレナに,2人がずっと夢見ていた「自分たちの店」が現実になるんだ,と説く。金策に走り回り,内装についてあれこれ計画を立てるエレナとフィビオ。しかしエレナには,そのフィビオにも打ち明けられない秘密があった。ふとしたことがきっかけで,彼女はあのアントニオと付き合うようになっっていたのだ。

そして歳月は流れ,多くの人で賑わう「カフェ・ガススタンド」のカウンターで祝杯をあげるエレナとフォビオ,2人の前には開店13周年を祝うケーキ。やがて宴は終わり,母アンナ(カルラ・シニョーリス)の家に寄って預けていた子供たちを引き取り家に帰り着くと,居間には酒の空き瓶,寝室ではアントニオが大いびきをかいている。いつもの夫婦喧嘩が始まるのを予期して身を隠す子供たち。

そんな日常が突然反転する。叔母ドーラ(エレナ・ソフィア・リッチ)に付き合って軽い気持ちで受けた乳癌の検査。医師に知らされた結果は陽性,しかもかなり進行していた。動揺する家族,友人達。化学療法が始まり,不器用ながら生活を改めて妻への愛情を示すアントニオ。しかし病はエレナの残り時間を非情に着実に食い尽くしてゆく。

オレの知り合いにも数年前,同じ病気で奥様を亡くされたヒトがいて,彼の気持ちを思うと軽々に傑作とか秀作とか評価を下しにくい。実際にそういう経験をしたわけでもないお前に何が解ると言われればその通りだしね。ただ,この映画を可哀想な女性が闘病の末に亡くなる物語として終わらせるのを拒んだラストシーンの演出は出色の出来映えだと思う。

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posted by hiro fujimoto at 11:58| Comment(0) | 映画

2016年07月15日のつぶやき


















posted by hiro fujimoto at 00:01| Comment(0) | 日記