2016年07月14日

ブックレビュー 「古城ゲーム」 ウルズラ・ポツナンスキ著

古城ゲーム
主人公バスチアンはケルンに住む勉強一筋の医学生。数週間前に知りあったばかりのガールフレンド,ザンドラに誘われて,中世14世紀の数日間を擬似体験するゲーム,いわゆるライブ・アクション・ロールプレイング・ゲーム(そんなもんあるのか,と思うヒトは「LARP」をググろう)に参加することに。

そのコンベンションは思い切りリアルにやることを標榜しており,時計,携帯電話は言うに及ばず,トウモロコシもタバコもジャガイモも,15世紀になってからヨーロッパに入ってきたものは全てナシ。人里離れた森の中に分け入り,14世紀の段階で知られていたものだけを使って数日間過ごすのだ。

出発直前,父親マクシミリアンが部屋を訪れ,彼をベルリンで行われる外科医学会の総会に帯同しようとする。この親父はドイツ医学界の重鎮で名医として評判も高いのだが,バスチアンにとっては傲慢で身勝手なそれこそ専制君主だった。彼はあくまでベルリン行きを拒否し,ザンドラたちと待ち合わせている駅に向かう。

行く先はオーストリア,ヴィーゼルブルグ・アン・デア・エルラウフ。電車を乗り継ぎ乗り継いで,到着は翌朝の6時。そこからコンベンション会場となる森の入り口までクルマで向かい,残りは徒歩。ところが魔法使いの扮装をしたドーロという女があの場所は呪われている,私たちは脚を踏み入れるべきぢゃない,と言い出す。

主催者パウルによればその古城跡には,王位を継承した正室の子である弟が妾腹の子で庶民に落とされた兄を罠にかけて殺害した。恨みを残して死んだ兄の怨霊がいまだに森をさまよっているという古い言い伝えがあり,昨年その話を知った彼がうっかり迷信深いドーロにその話をしてしまった,らしい。

それでも一行はなんとかキャンプ地にたどり着き,21世紀の文明とおさらばしての最初の夜,新参のバスチアンの世話を焼き,いろいろと教えてくれていた〈イボ〉が行方不明になる。やはり呪いだと騒ぎ立てるドーロの言葉を真に受ける者はいないが,みんなの捜索にも関わらず彼の行方は知れず,そうこうするうちまた一人失踪者が…。

傑作「〈5〉のゲーム」に先立つこと1年,それまで童話や児童文学を専門に書いていたというポツナンスキがその作品の幅を拡げ始めた2011年の作。「〈5〉のゲーム」にくらべるとかつての小峰元あたりを彷彿とさせる「青春小説」テイストが濃い。謎解きもオレみたいなスレた読者には序盤からヒントが多すぎるぜ,みたいな感じだけど,まぁ楽しめた。

それよか「〈5〉のゲーム」で活躍した女刑事ベアトリス・カスパリーが出てくる次の作品「盲目の鳥」の邦訳はまだかなぁ。

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2016年07月13日のつぶやき








posted by hiro fujimoto at 00:01| Comment(0) | 日記