2016年07月12日

映画レビュー 「シチリア!シチリア!」 ジュゼッペ・トルナトーレ監督

BAARIA
トルナトーレ監督と言えばあの「ニュー・シネマ・パラダイス」を思い出す人も多かろう。あの映画が好きなヒトなら絶対コレも好きになるはず…と言って二匹目のドジョウを狙ってるわけぢゃないよ,念のため。

時は1930年代,ところはシチリアの田舎町バーリア(正しくはバゲリーアというのだが,方言でこう呼ぶのだそうな),牛飼いの次男として生まれた少年ペッピーノは家の貧しさもあって学校が苦手,兄ニーノと共に大人に混じって働く日々。

少年時代とともに戦争が終わり,たくましい青年に成長したペッピーノ(フランチェスコ・シャンナ)は,町で見かけた黒髪のマンニーナ(マルガレット・マレ)に一目惚れ,娘を金持ちに嫁がせたい親の反対にあって駆け落ちし,正義感に燃えて共産党に入党する。やがて可愛い子供も産まれるが,彼が飛び込んだ政治の世界は当然ながらそう綺麗なものではなく……。

1930年代から80年代まで,約50年間にわたるひとつの家族の叙事詩。物語の主人公ペッピーノはトルナトーレ監督の父親をモデルにしているらしく,その次男として子供のころから映画に夢中の(そう,あの「ニュー・シネマ・パラダイス」のトトそっくりに,だ)監督自身の少年時代も描かれる。

戦争中の軍部による横暴(イタリアは日本と同じ枢軸国,学校でペッピーノはムッソリーニを讃える歌を唄わせられる)や,抵抗する庶民の姿,1960年代と思しき1台の白黒テレビに近所の皆が集まって歌番組を楽しむシーン,属する共産党の路線転換を認める父ペッピーノを「修正主義者!」となじる1970年代の学生である長男など,ああどこのクニもどんな家族も同じ20世紀後半を生きてきたんだなぁと。

なんつかひとことで言えば,トルナトーレ版の,敗戦国の,そして田舎・辺境の「フォレスト・ガンプ」とでも言うべき映画なんであります。

ラスト近く,進学のためバーリアを離れて旅立つ次男(つまり監督の分身)を駅まで見送りに来たペッピーノが「父さん,なぜ僕たちは生意気と言われるの?」と訊かれて答える。「たぶん,世界をその手に抱こうとしてるのに,腕があまりにも短いからぢゃないか?」。

2時間31分が全然長く感じません。珠玉の名品…ちうか,日本でもこういうの,誰か撮れないの?

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posted by hiro fujimoto at 08:38| Comment(0) | 映画

2016年07月11日のつぶやき








posted by hiro fujimoto at 00:01| Comment(0) | 日記