2016年07月08日

ブックレビュー 「過去からの殺意」 ヴァル・マクダーミド著

Distant Echo
スコットランドのセント・アンドルーズ市。ゴルフ発祥の地として有名だが,スコットランド最古の大学,セント・アンドルーズ大学を擁する学園都市でもある。1978年の冬,この大学に通う仲のいい4人組が酔っぱらってパーティから帰る明け方近くの雪のなか,血だらけで倒れている女性を発見する。

それは4人も良く訪れるパブ,ラマス・バーのバーテン,ロジー(ローズマリー)・ダブだった。

4人のなかで最も落ち着いており医学生でもあるジギーことシグムンド・マーキウィッツがロジーに触れてみるとかろうじて生きている。彼は傷口を押さえてなんとか出血を停めようとすると同時に,最初に彼女を見つけたアレックス・"ギリー"・ギルビーに助けを呼びに行かせた。しかしアレックスが警官を連れて仲間のもとに戻ったときにはロジーは事切れていた。

当然ながら発見者である4人は参考人として取り調べを受ける。ジギー,アレックス,そしてウィアードことトム・マッキーとモンドことディヴィッド・カー。彼らは4人とも30キロほど南西の街カコーディの出身,子供の頃からのつきあいで,セント・アンドルーズでは自分たちを「カコーディの若造ども」と自称していた。

捜査にあたった警部バニー・マクナレンは,学生仲間のパーティに出ていたという曖昧なアリバイをつつきまわすが,彼らがやったという確信は持てず。結局4人は解放されたものの周囲の疑いの目に晒される。被害者ロージーの粗暴な兄ブライアンによる暴行などの騒動を経て事件は迷宮入り…。

25年後の2003年,セント・アンドルーズを含むファイフ警察本部は過去30年間の未解決事件を最新の科学技術で見直すことを発表。ロジーの事件に関しても,事件発生当時一警察官だったジェームズ・ローソン本部長補が指揮を執って再捜査が行われることになった。

そしてそのローソンのもとにロージーの息子を名乗る20代の若者グレアム・マクファディエンが出現。ほぼ時を同じくして,遠くアメリカ西海岸,シアトルの地であのジギーが変死を遂げる。しかも葬儀にかけつけたギリーとウィアードは(モンドはなんだかんだと理由をつけて出席を拒んだ)そこに届けられた花輪に添えられたカードには「ローズマリーは追憶の花」と…。

4人の若造達が殺人の疑いをかけられていかにも若造らしく右往左往する前半はちょっと冗長だが,題名通り「過去からの殺意」が炸裂する後半は一気に読ませる。あ,いや,これだけ読んで4人の渾名がデヴィッド・ボウイやピンク・フロイドにちなんでることに気づいたヒトには前半もエキサイティングかも。

「過去からの殺意」をAmazonで探す。


posted by hiro fujimoto at 08:46| Comment(0) |

2016年07月07日のつぶやき










posted by hiro fujimoto at 00:01| Comment(0) | 日記