2016年07月06日

映画レビュー 「バーダー・マインホフ 理想の果てに」 ウリ・エデル監督

The Baader Meinhof
2009年のアカデミー外国語映画賞をあの「おくりびと」と争った作品。70年代にドイツ内外で過激な武装闘争を繰り広げた「RAF(ドイツ赤軍)」の理想と蹉跌がテーマのこの作品。タイトルの「バーダー・マインホフ」は,このグループの創始者2名の名前を並べたもの…つうか爆弾闘争などの犯行声明で「RAF」と名乗る前は「バーダー・マインホフ・グループ」と呼ばれていたんだね。

1967年,イラン国王パーレビ来独に対する反対運動を取材中だった女性ジャーナリスト,ウルリケ・マインホフ(マルティナ・ゲデック)は,反対派の学生を警官が射殺するのを目撃,言論による運動に限界を感じ始める。ほどなくベトナム戦争に抗議すると称して放火事件を起こした学生カップル,アンドレアス・バーダー(モーリッツ・ブライプトロイ)とグドルン・エンスリン(ヨハンナ・ヴォカレク)と知り合った彼女は暴力闘争をも辞さない彼らの思想に共鳴,放火事件の裁判に出廷せず地下に潜った2人をイタリアに脱出させる。

70年,ドイツに舞い戻って逮捕されたバーダーの脱獄に手を貸して共に姿を消した彼女は,仲間と共にヨルダンのパレスティナ解放戦線キャンプへ。帰国後,RAFを名乗って銀行強盗などの武装闘争にのめり込んで行くのだが,理想とは裏腹に彼らの「闘争」はどんどん単なる「犯罪」に堕して行く…。

70年代に中・高生だったオレは,この映画に出てくる「RAF」や,その日本版とも言える「日本赤軍」や「連合赤軍」(日本赤軍と京浜安保共闘という2つのグループが文字通り「連合」したもの)などの「理論と闘争」に対してマコトに失礼ながら「バカだ」という印象を持っている。

掲げてる理想は高邁…今振り返るとタカアンドトシあたりにさえ「子供か!」と突っ込まれそうなシロモノだったりするにしてもね,だったかも知れないが,その理想をどうしたら実現できるかとゆー方法論をマジメに考えるのは苦手…キライ? どっちでもいいけどさ,なんだよね。

この映画ではバーダーがそういう人物に描かれているが(実際にもそうだったんだろうな),他人がコムズカシイことを言い始めるとウルサゲにそれを遮って「要はヤルかヤラネェかだろうがよ!」とか叫ぶようなヤツが,その無謀さや声の大きさ,後先のなさなどをテコにしてカリスマを獲得してくわけ。これって実は「ヤクザ」の世界とまったく同じなんだよね(疑うヒトは東映ヤクザ映画をもっと観よう)。

そういう「ニンゲンが作る集団のサガ」みたいなもの(業界用語では「リスキーシフト」と言います。興味の湧いたヒトはググってみそ)を,美化せずきっちり描ききった見応えのある2時間30分。ここに来て右往左往してる「団塊の世代」のヒト達に是非観て欲しい映画であります。

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posted by hiro fujimoto at 06:27| Comment(0) | 映画

2016年07月05日のつぶやき








posted by hiro fujimoto at 00:01| Comment(0) | 日記