2016年07月02日

映画レビュー 「ジャック・メスリーヌ パブリック・エネミー No.1 PART1&PART2」 ジャン=フランソワ・リシェ監督

PublicEnemyNo1
2009年のセザール賞(日本のマンション会社の勝手な賞ではなくて,フランス版のアカデミー賞)を受賞したジャン=フランソワ・リシェの大作である。

ジャック・メスリーヌといえばオレの持つイメージは「現代の怪盗」だ。新聞か雑誌で読んだのだと思うが,逮捕されるたびに脱獄を繰り返し,うまく脱獄できたんだからしばらくはおとなしくしてりゃいいのにまたすぐ銀行を襲ったりで,日本の新聞には「現実にいた『ルパン3世』」てな見出しもあったような気がする。

その「怪盗メスリーヌ」の犯罪者としての半生,キャリア(キャリアって言うんか)を開始した1959年から,1979年にパリ18区クリニャクル広場で射殺されるまでを,実に総尺246分をかけて描いたのが本作。全編これ大迫力,浪花節とマンガとエロスと暴力のごった煮であります。

1959年除隊してアルジェリアから帰国したジャック・メスリーヌ(ヴァンサン・カッセル)は幼馴染みのポール(ジル・ルルージュ)に誘われるままギャングの仲間に。窃盗,強盗などを繰り返しつつ,スペイン旅行で知り合った妻ソフィア(エレナ・アナヤ)との間に2男1女を設ける。

1962年,逮捕されて初めての服役。出所後しばらく正業に就くものの不景気でクビを切られると再び強盗を働く。そんな彼に愛想を尽かしてソフィアが出て行くと,公私をともにできる…これはつまり強盗も一緒にやるということだが,伴侶ジャンヌ(セシル・ド・フランス)を得て荒稼ぎ。当然警察の追求も厳しくなり,2人はジャックの両親に子供を預けてカナダに高飛び。

ケベック州モントリオール,ジャンヌとともにメイドと運転手の夫婦として億万長者デローリエ(ジルベール・シコット)の元に住み込むものの,解雇されそうになって逆ギレ。デローリエを誘拐して身代金を要求するも失敗,アメリカ,アリゾナ州まで逃走するが逮捕され,USC(特別懲罰刑務所)に投獄される。

ここで旧知のケベック解放戦線闘士メルシエ(ロイ・デュビュイ)と再会したジャックは他の囚人達の協力も取り付けて脱獄を計画。まんまとこれに成功するやメルシエの同志たちと銀行強盗で資金を稼ぎ,囚人達を解放するとしてUSCを襲撃する(このくだりホンマにマンガチックなんだが事実である)。襲撃自体は失敗に終わるが,この一件で彼は大衆に「義賊」として英雄視されることになる。ここまでがPART1の「ノワール編」。

1973年,フランスに舞い戻ったジャックは旧友のアルドワン(サミュエル・ル・ビアン)らと銀行強盗を続けて逮捕される。しかし彼は「オレが奪うのは銀行など裕福な連中からだけだ」と持論を開陳した上,あらかじめ裁判所のトイレに隠しておいた拳銃を使い判事を人質に取って余裕の脱走。

当局には「社会の敵No.1」の烙印を押されるが世間には喝采される。その後も彼専任の捜査官となったブルサール警視(オリヴィエ・グルメ)にアジトを急襲されると警官たちにシャンパンを振る舞い,法廷では手錠外しを実演し,獄中では自伝を執筆するなどヒトを食った行動を続ける。

そして1978年5月,やはり脱獄常習者として有名なフランソワ・ベス(マチュー・アマルリック)と組み,看守の服を着てラサンテ刑務所を脱獄したジャックは最後の恋人シルヴィア(リュディヴィーヌ・サニエ)と暮らしつつ,億万長者ルリエーブル(ジョルジュ・ウィルソン)を誘拐して身代金をせしめた。

イタリアの極左テロ組織・赤い旅団にもツテを持つ仲間チャーリー・ボーエル(ジェラール・ランヴァン)と共に,自分をゴロツキ呼ばわりした右翼系新聞ミニュエットの記者ダリエ(アラン・フロマジェ)をリンチするなど相変わらず大胆な犯行を繰り返す。そして運命の11月2日がやってくる…。

なんつうか,空気が違うというようなニュアンスなんだけど「絶対にフランスでしか撮れない種類のギャング映画」つうのがあると思うんだよねオレ。人…この場合は監督かな,によってその色の濃淡はあり,たとえばニューヨークを舞台に「レオン」が撮れちゃうリュック・ベッソンなんかはそのケが薄いんだけど,このジャン=フランソワ・リシェというヒトはまさにその対極にいる感じ。

そして主演のヴァンサン・カッセルの素晴らしさ。1997年の「ドーベルマン」からずっと好きな役者なんだが,これは文句なく彼の代表作になったと思う。是非一度ご覧あれ。損はしません。

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posted by hiro fujimoto at 08:38| Comment(0) | 映画

2016年07月01日のつぶやき






















posted by hiro fujimoto at 00:01| Comment(0) | 日記