2016年07月29日

映画レビュー 「放課後ミッドナイターズ」 竹清仁監督

放課後ミッドナイターズ
物語の舞台は名門・聖クレア小学校。来春入学予定児童の学校見学会の日,老朽化により立ち入り禁止となっている校舎の理科室に迷い込んだマコ,ミコ,ムツコ(戸松遥,雨蘭咲木子,寿美菜子・声…以下も)のスーパー幼稚園児3人組マ・ミ・ムは,そこに陳列されているキュンストレーキ(ドイツ語で人体模型のこと)を見つけ「おとなのくせに服も着てないはだかんぼさんをかわいくしてあげよう!」と…。

その夜,学校の怪談のお約束で真夜中に動けるようになったキュンストレーキ(山寺宏一)の剣幕は怒髪天を衝くイキオイ…あ,もちろん髪はないんだが。相棒の骨格標本ゴス(田口浩正)と共にホルマリン漬けのウサギ3羽(屋良有作,大塚芳忠,黒田勇樹…ウサギって1羽2羽って数えるんですよ,知ってました?)をよみがえらせ,復讐するからあのガキどもを連れて来いと命じる。

やがてかわいいウサギにおびき寄せられて…つうのとはちょっと違うんだが,とにかく深夜の学校にやってきた3人組。とにかくヤツらをギャフンと言わせる,と息巻くキュンストレーキをよそにゴスにはゴスの思惑が。それは彼女たちに3枚集めれば願いがかなうという伝説のメダンを集めてもらい,明日に迫った自分たち理科室の標本の廃棄をやめさせてもらいたいというもの。

メダンを保持するのはプールに巣くう半漁人ピニア(小杉十郎太),ITルームのダンケルハイトとリミュエール(谷育子),そして音楽室の作曲家たち(家中宏,茶風林,松本大,郷田ほづみ)。果たしてマ・ミ・ムは見事試練を突破してメダンをゲットできるのか。そしてゴスの願いとキュンストレーキの復讐は? ついでにUFO目撃の噂と旧校舎のトイレのうめき声の真相は?

いやぁ面白かったなぁ。なんかここ数年,日本のアニメってやたら「感動」を演出するようになった気がしてて,しかもそれが絵に描いたような(いや描いているんだけど)お子様ランチで,その「感動の質」まで見えちゃう気がする。あ,もちろんそれらの主たるターゲットは子供たちなんだし,子供のころにそういう物語に触れるのは大事なことだと思うよ。

でもさ,40,50面下げたオトナが毎度毎度「走れメロス」的プロットに感動してるだけでいいんか,とも思うのだ。とにかくオレ,このアニメをまずオトナの皆さんにお勧めしたい。つか,とりあえずは予告編だけでもYouTubeとかで探して見てくだされ。

「放課後ミッドナイターズ」をAmazonで探す。

posted by hiro fujimoto at 08:42| Comment(0) | 映画

2016年07月28日のつぶやき












posted by hiro fujimoto at 00:01| Comment(0) | 日記

2016年07月28日

ブックレビュー 「ひばり伝」 齋藤愼爾

ひばり伝
タイトルだけ見ると単なる美空ひばりの伝記のようだがどちらかと言えば内容は「美空ひばりの生涯に仮託した戦後文化論」といったもの。これまでに編まれた数多の類書や記事を網羅…はしてないだろうけど,と著者は謙遜しているがいやいやスゴイもんです,精読・整理した,ひとつの集大成とも言える「ひばり本」になっている。

え,類書を整理ってどんなことかって? 例えば美空ひばりが少女時代,NHKのど自慢に出場したときに歌った唄と鐘の数。ひばりの母親喜美枝は昭和28年の雑誌記事で「(『リンゴの唄』を歌って)鐘が鳴らず,大騒ぎになって」といい,昭和32年の「知性」という雑誌の記事には「『長崎物語』を歌って鐘が鳴らず,もう1曲といわれて『愛染かつら』を歌い始めたとたんに鐘が1つ鳴った」とある。

竹中労の「美空ひばり」では「『悲しき竹笛』を歌った。ところが,歌い終わっても鐘が鳴らない…」となっていて,上前淳一郎の「イカロスの翼」には当日審査委員だった古賀政男の記憶として「歌ったのは笠置シヅ子の歌,たぶん『セコハン娘』だった」と書かれている…と,まぁざっとこんな具合。どれがホントなのか,今となっては検証のしようもないがこうして諸説が並記されているだけでも資料としての信頼性は高い。

しかししかしなにより唸った,というかオレが深く首肯してなかなかモトに戻せなかったのは,こうした基礎的データを積み重ねた取材の上に,著者(美空ひばりより2歳年少)が到達したアーティスト・美空ひばりの作品論に関わる部分である。なにを隠そう1961年生まれのオレの記憶に残っている「最も古いひばりの歌」というのは1965年の日本レコード大賞曲「柔」である。

♪かぁつとおもうな,おもえばまけよぉ,というどっか不条理なあれですな。以降「悲しい酒」「真っ赤な太陽」,岡林信康が書いた曲や小椋佳の「愛燦々」,前世紀末に新潮社が企画した「21世紀に歌いつぎたい歌」のナンバーワンになった「川の流れのように」まで,その歌の上手さに舌を巻いたことはあってもそれ以上に何かを感じることはなかった。

オレが美空ひばりの歌にフルエるほど感動したのは,亡くなってから随分経った後のことだ。懐メロ番組かなにかで少女時代の彼女が歌う「東京キッド」の雨の降るようなフィルム(映画のワンシーン…探したらYouTubeにあった)が流れた。すごい,これが13歳の女の子の声ですか,歌ですか,情感ですかと思いました。

ちょうど発売されたばかりだった「美空ひばりトリビュート オリジナル・セレクション」というのを買って改めて「美空ひばり」を聴くと,そうなんですよ,本書あとがきに引かれている小沢昭一や黒田正太郎,本田靖春等の言葉の通りひばり全作品の中で「川の流れのように」なんて「最後に発売された」こと以外あんまり意味のない曲, ビートルズの「You Know My Name」みたいなもんなのだ。

「ひばり伝」をAmazonで検索

posted by hiro fujimoto at 08:28| Comment(0) |