2016年05月24日

映画レビュー 「闇の列車,光の旅」 キャリー・ジョージ・フクナガ監督

闇の列車,光の旅
2009年サンダンス映画祭監督賞受賞作。メキシコ最南部,チアバス州タバチュラで暮らす青年カスペル(エドガー・フロレス)は中南米最大のギャング組織マラ・サルバトゥルチャ13のこの地域でのナンバー3,目尻に「人を殺した証」涙のカタチの入れ墨をしている。

ある日,彼のギャングとしての暮らしを知らない恋人マルタ(ディアナ・ガルシア)が浮気を疑ってギャングの溜まり場に現れ,ボスのリルマゴ(テノック・ウエルタ・メヒア)に襲われ殺されてしまう。マルタとの逢瀬のために組織の仕事をおろそかにしていたカスペルは黙ってこれに耐えるしかなかった。

翌日,リルマゴはカステルとまだ10代になったばかりの新人スマイリー(クリスティアン・フェレール)を連れ,北ヘ向かう貨物列車の屋根に乗っている移民たちから金を強奪しに行く。だがリルマゴがホンジュラス人の娘サイラ(パウリーナ・ガイタン)に目をつけ銃で脅して乱暴しようとした瞬間頭の中でなにかが弾け,カステルは手にした鉈をリルマゴの首に振り降ろしてしまうのだった。

カステルの裏切りはスマイリーによってナンバー2であるソル(ルイス・フェルナンド・ペナ)の知るところとなり,組織を上げての追跡が始まる。一方,彼に救われたサイラは眠る父親と叔父を置き去りに,深夜列車を降りるカステルについていく…。

メキシコ,移民と聞けば我々がすぐ想起するのはアメリカに密入国するメキシコ移民のことである。が,そのメキシコが逆側の国境では,内戦続きのグアテマラやその向こうので政情不安な最貧国ホンジュラスから流入する人々を厳しく取り締まっている。

貧しいメキシコ南部では屋根にいる移民たちに食い物を投げてくれるヒトもいるが,アメリカに近くそれなりの経済発展を遂げている北部では投げつけられるのが石になったり,カステルを殺すための銃を渡されたスマイリーがそれを誇らしげに幼い子供たちにみせびらかすなど,そうした,グローバル化とスーパーキャピタリズムによって寄せられた「しわ」のてっぺんに振り落とされまいとしがみついている人々の暮らしのディティールを切り取る手腕は見事。

これはホント「出来るだけ多くのヒトに観ていただきたい」と思う映画であります。

「闇の列車,光の旅」をAmazonで検索

posted by hiro fujimoto at 09:02| Comment(0) | 映画

2016年05月23日のつぶやき










posted by hiro fujimoto at 00:01| Comment(0) | 日記