2016年05月13日

映画レビュー 「レッド・バロン」 ニコライ・ミューラーショーン監督

レッド・バロン
第一次世界大戦の撃墜王リヒトフォーヘンの名前を初めて知ったのは,中学生になったばかりの頃,赤い鳥のLP「竹田の子守歌」を買った時だ。その1曲目が「プロローグ、撃墜王リヒトホーフェンのフォッカー Dr.I 三葉戦闘機」という題名で,ジャケットにも赤く塗装された…なぜか複葉機だったけど,飛行機が写ってた。赤い飛行機〜赤い鳥って連想だったんでしょうね(曲名になっている三葉機は彼が死んだ時に乗っていたもの)。

撃墜王リヒトホーフェン。フルネームはマンフレート・アルブレヒト・フライヘア・フォン・リヒトフォーヘン,第一次世界大戦における帝政ドイツ陸軍の航空士官で,この大戦を通じての撃墜王(80機)。ドイツの敗色が濃厚となった1918年4月12日,フランス,ソンム川上空における空中戦で被弾,機は不時着したもの傷は深く間もなく死亡。この映画は乗機を赤く塗っていたことから「レッド・バロン」と呼ばれた彼の,最後の1年半を描いたものである。

1916年。フランス北部,連合国軍陣地内で戦死者の葬儀が行われている。そこに突如,敵であるドイツ軍戦闘機4機が飛来する。すわ爆撃と皆が逃げ惑う中,超低空飛行して隊長マンフレート・フォン・リヒトフォーヘン(マティアス・シュヴァイクホーファー)が落としていったものは,自分と空中戦を戦って死んだ敵パイロットへの敬意と追悼の言葉を記した花輪だった。帰途,4機は上空から奇襲をかけてきた連合国軍編隊と交戦し,マンフレートはそのうちの1機を撃墜する。

帰投後,墜落地点に向かった彼は,そこで後に好敵手となる(最後に彼を撃墜したという説もある)カナダ人パイロット,ロイ・ブラウン(ジョセフ・ファインズ)を救助し,駆けつけた従軍看護婦ケイト・オステルドルフ(レナ・ヘディ)に託す。飛行と空中戦に熱中するあまり他のことにはオクテだった彼はこの美しい看護婦に一目惚れするが,ケイトは戦争をまるでスポーツの試合のように語る彼に反発を隠さない。

同年11月,イギリス軍最高のエース・パイロット,ラノー・ホーカーを撃墜してその名を挙げたマンフレートは,翌1917年1月までに16機を撃墜,プロイセン軍人として最高の栄誉であるプール・ル・メリット勲章を受章する。時を同じくしてエリート・パイロットばかりを集めた第11戦闘機中隊の隊長に任命された彼は,自分の乗機全体を隊の識別色でもある赤で塗装。「目立ち過ぎて奇襲ができない」という仲間の言葉に「奇襲など要らない。目立って恐れさせたいんだ」と答える。

この機によって連戦連勝を重ねる彼はいつしか「レッド・バロン」と讃えられ,敵側には「赤い悪魔」と恐れられるようになるが,戦争全体の趨勢はもはや動かしがたくドイツ民衆は塗炭の苦しみに喘いでいた。7月,敵の銃弾を浴びて負傷,入院した彼は看病に当たったケイトに野戦病院の惨状を見せられ「あなたを英雄と讃える戦意高揚のプロパガンダがこの人たちの苦しみをもたらしている」と説かれて悩む。しかし最高司令部はそんな彼に今度は空軍全体の指揮を執らせようとする…。

あのね,これ,名作です。高潔な英雄,大空への夢,競い合う興奮,友情の形成,恋愛の悩み,運命の残酷,平和への葛藤…およそ映画で観たいモノのすべてがここにある。なのにこれ,東京では丸の内ルーブルでのたったの2週間限定公開だったんだよね。でかいスクリーンと周囲の迷惑を考えなくていい音響システムを必要とするまさに映画っぽい映画なのになぁ。

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posted by hiro fujimoto at 08:08| Comment(0) | 映画

2016年05月12日のつぶやき


















posted by hiro fujimoto at 00:01| Comment(0) | 日記