2016年05月11日

映画レビュー 「ぼくたちのムッシュ・ラザール」 フィリップ・ファラルドー監督

ラザール
2011年のアカデミー外国語映画賞にノミネートされたカナダ映画。

舞台になるのはケベック州モントリオールの小学校。その日当番の少年シモン(エミリアン・ネロン)がクラス全員分の牛乳を持って教室に行くと,そこでは担任の女性教師マルティーヌが首を吊っていた…。シモンの報せを受け,校内に入ろうとする子供たちを外に誘導する教師たち。が,シモンのクラスメート,アリス(ソフィー・ネリッセ)は騒ぎの間隙を縫ってマルティーヌの姿を見てしまう。

マルティーヌの死から1週間,校長ヴァイアンクール(ダニエル・プルール)は教室の模様替えに子供たちのケア,そして代わりの教師の手当てに忙殺されていた。そんな彼女を訪ねて1人の男がやってくる。彼の名はバシール・ラザール(フェラグ),永住権を持つアルジェリア人でアルジェで19年の教師経験があるという。「新聞を見た。子供たちの力になりたい」という彼に校長はマルティーヌの後任を任せる決断をする。

おだやかなものごしのラザールは早速子供たちとうち解けるが,その授業のやりかたは古く,書き取りのテキストにバルザックを選ぶなど子供たちを戸惑わせる。実は彼は認定を申請中の難民であり,教師をしていたのは政府を批判する著書が問題にされテロによって殺害された彼の妻。彼自身はレストランの経営者だった。

そんななか,ある日授業でアリスがマルティーヌの死をテーマにした作文を発表。これを聴いて子供たちの心の傷がいまだ癒えていないことを確信したラザールはこの作文を全校に配ることを提案するが,これ以上の波風を嫌う校長はこれを拒否。まもなく行われた学校でのダンスパーティの日,シモンが天使の羽と首つりの縄を落書きしたマルティーヌの写真を持っていたことがわかり…。

子供にとって身近な人の死はショックだ。そう思って大人は彼らをそこから遠くに隔離しようとする。しかし隠しても遠ざけても人は死ぬし,子供はいつか大人にならなければならない。その,当たり前の事実を静謐と言っていいタッチで淡々と語り,良質なカタルシスを導出する95分。

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posted by hiro fujimoto at 08:47| Comment(0) | 映画

2016年05月10日のつぶやき














posted by hiro fujimoto at 00:01| Comment(0) | 日記