2016年05月04日

ブックレビュー 「コリーニ事件」 フェルディナント・フォン・シーラッハ著

DerFallCollini
「犯罪」の著者,シーラッハが初めて世に問うた長編小説。

いやこの「世に問うた」って言い回し,けっこうよく使われるけど正直オレは「ちょっと大げさなんぢゃねぇの?」といつも思ってた。「その『世』ってなんだかえらい狭くない?」と思ったり「ただただ自分のただれたセックスライフを開陳してるだけ。『オレって変態?』って『世に問う』ほどのこと?」と思ったりしてた。

だからこれまでオレはこの表現,ギャグとして以外は使ったことがない(はずである。あんまり自信ないけど)。それを敢えて使った…だけでなくこうやってくどくどとその背景というか来歴というか事情というかを縷々説明しようとまでしている,という辺りで察して欲しいんだが,ホントにこれ「世(この「世」は厳密には著者の属するドイツ社会ね)に問うた」作品なのでありドイツ社会はまさしく「問われちゃった」のである。

小説は殺人事件で始まる。ベルリンの高級ホテルのスイートルームに投宿中だった大実業家ジャン=バプディスト・マイヤー85歳が,新聞記者を装って訪ねてきた元自動車組立工でイタリア国籍のファブリツィオ・マリア・コリーニ67歳に射殺される。銃弾4発。顔が半分吹き飛んだその死体をコリーニは何度も何度も靴の踵で踏みつけたあと,ロビーに降りて警察を呼んでくれと頼んだ。

殺人容疑で拘留されたコリーニのために呼ばれたのは弁護士になって42日のカスパー・ライネン。勢い込んで依頼人に逢いに行った新米弁護士に,しかしコリーニは事件について何も語ろうとしない。1934年生まれ,ドイツのダイムラー社で組立工として34年働いてきたイタリア人。あとは「弁護士はいらない。弁護してもらう必要はない。おれは,あの男を殺した」と繰り返す。

弁護の方針を立てかねているライネンのもとに夭逝した親友フィリップの姉ヨハナから連絡が入る。「どうしてあんな奴の弁護をするの?」。戸惑うライネンに彼女が告げる。殺された人物はフィリップとヨハナの祖父,ライネン自身も少年時代の多くの時間をともに過ごしたハンス・マイヤーだったのだ。老人はフランス人の母がつけたジャン(ヨハネス)という名前を嫌ってドイツ風にハンスと名乗っていたのだった。

公職と私情の間で苦悩するライネン。相変わらず依頼人は殺人の動機を語らず,しかも被害者側の依頼で公訴参加代理人,つまりライネンの敵方には辣腕の大物弁護士マッティンガーが。マッティンガーは若いライネンに容赦せず,公判は「殺人の理由」を中空に浮かべたままコリーニの断罪に向かって突き進んでゆく。が,しかし…。

ここから先は是非ご自分でお読みいただきたい。興味を持っていただくためにこれだけ書き足しておこう。この続きでライネンがあきらかにすることになるドイツの法律上の問題点は,この小説の発表がきっかけとなって見直されることになった。これは「政治を動かした小説」なのである。

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posted by hiro fujimoto at 19:17| Comment(0) |

映画レビュー 「スポットライト 世紀のスクープ」 トーマス・マッカーシー監督

spotlight
本年度アカデミー賞の作品賞並びに脚本賞の受賞作である。同時多発テロの衝撃冷めやらぬ2002年1月,ボストン・グローブが放った「数十人の神父による児童への性的虐待とカトリック教会が行った事件の隠蔽」に関するスクープ。この映画はその取材にあたった同紙「スポットライト」チームの物語である。

2001年夏,ボストン・グローブ紙に親会社から新しい編集局長がやって来る。マーティ・バロン(リーヴ・シュレイバー),前任地はフロリダ。地元出身者が多数を占め,93年に会社がニューヨーク・タイムズ傘下に入ったことに対するわだかまりも残る社内で,彼は記者たちに「より読者に読んでもらえる記事」を求める。

そんな彼が小耳に挟んだのが「神父による児童性的虐待」のネタ。早速,一つのニュースを長期間に渡って追う特集ページ「スポットライト」のチーフ,ウォルター・ロビンソン,通称ロビー(マイケル・キートン)にこの件の取材を打診するが,部長のベン・ブラッドリー・Jr(ジョン・スラッテリー) は否定的。「教会の反撃を食らうぞ,ウチの定期購読者の53%はカトリック信者だ」と言うがマーティは「だからこそ読んでもらえる」。

ベンの懸念をよそに取材を開始したロビーの部下たち,マイク・レゼンデス(マーク・ラファロ),サーシャ・ファイファー(レイチェル・マクアダムス),マット・キャロル(ブライアン・ダーシー・ジェームズ)。弁護士を説得して被害者に逢い,過去の資料を繙くうち,この事件が一人の神父がたまたま犯した過ちではなく,またこの種のスキャンダルに対する教会の隠蔽工作も常態化していることが明らかになり…。

ほぼ事実に即した脚本なので法定手続きの用語とかも多く(こういうの,よく解んないのはオレが日本人だからぢゃないよね? オレ日本のこういう手続き用語もわかんないもん),まぁはっきり言って「地味」。だがそれが事件の深刻さとの相乗効果を産み出して脚本賞ということになったのかなぁ。

ところで,同じようなスクープものとして「大統領の陰謀」(アラン・J・パクラ監督)がよく引き合いに出されてるんだけど,上に出てくるボストングローブ報道部長ベン・ブラッドリー・Jr って,正真正銘あの事件のときのワシントン・ポストの編集主幹だったベン・ブラッドリーの息子なんだって。事実は小説より奇なり。

「スポットライト 世紀のスクープ」公式サイト
posted by hiro fujimoto at 10:53| Comment(0) | 映画

移動の弁

永いこと…10年以上だな,使ってきたgooのブログサービス,gooブログアドバンスというのが突如,使えなくなった。

具体的にはこのサービス,月額206円(税込み)払えば(1)ブログ・テンプレートの編集,(2)アフィリエイト・リンクの貼付,(3)アップロード画像のフォルダ分けしての整理,(4)ブログ全文のバックアップが提供されるというもんだったのだが,5月1日,いつものように外れ馬券の画像データを(いつも外れ馬券なわけではない,為念)アップロードして「競馬」というフォルダに入れようとしたらそのフォルダがないのである。ほんで「gooブログフォト」という515円(税込み)に申し込めばフォルダ分けできます今申し込めば1ヶ月は無料ですと言うのだ。

こら待て。つまり今まで206円で提供されてた機能を515円に値上げしたというのか。しかも今まで206円でそれらの機能を使っていたオレにはなんの案内もなく(オレはこのブログを最低でも週に二度は更新していたがそういう案内を受け取ったり表示されたりした覚えはない),上のすべてのサービスを解除して「無料ブログ」の状態にダウングレードしたと?

実を言えばかなり以前からどっかにレンタルサーバを借りてこのブログを移そうかと思ってはいた。ブログだけでなく仕事上の実験とかにも使えるしね。でも面倒くさいし,206円で借りられるレンタルサーバはないよねぇ,と先延ばしにしてきたんだよね。それが月額515円になったら「さくらのスタンダードプラン」(今この文章を書いてるこれですが)と同じではないか。さいわい連休中で時間もあるし,gooへの怒りのエネルギーも追い風だ,というわけで一発思い切りました。

つうわけで,別に興味あるヒトなどいないかも知れないけど以下の要領で移動します。

1)諸事情あって機械的な引っ越しはできないので過去の記事は少しずつ持ってきます。
2)持ってくる記事は当面,映画レビュー,ブックレビュー,競馬勝ち負け日記(こらそこのヒト,負け負け日記とか言わない)。
3)gooのほうは無料になってるのでこのまま放置(twitterのまとめ投稿とかで存続するかな)。

この「さくらのブログ」からfacebookとかtwitterに更新を自動投稿する方法とか調べなくちゃ(場合によっては自分で書くか)。
posted by hiro fujimoto at 10:28| Comment(0) | 雑文